「ノートパソコン一台あれば世界中どこでも仕事が出来る」
みたいなフレーズがあちこちで喧伝されている。
確かに、ネット回線は年々高速化され、安価になり、さらにはコワーキング・スペースも世界各地に乱立するようになってきた。
しかし、「世界中どこでも出来る仕事」って一体何なのか。
それはネットを介した情報の発信や加工をする職業に限られた話で、その他の多くの仕事は依然として場所に捉われているし、また捉われるべきだ。
実は場所の制約を受けないと言われているワーカーにとっても、固定した仕事場を持つメリットは大きい。セキュリティ上はもちろんだが、安心と余裕も生まれるし、長時間の作業も苦にならない。また資料やツールにもすぐにアクセスできる。公共の場所で晒されている状況で仕事を処理されて良い顔をするクライアントはいるのだろうか。
駅前のスタバや、どこか外国のビーチサイドのテラスが仕事に最適なのであればそれでも良い。しかし、そんなワークスタイルを謳歌することによって、効率や創造性が損なわれ、あらゆる仕事において完成度の追求が忘れられ「終わりゃいいんだ」という意識でやっつけられるようになると、これは社会にとって損害にしかならなくなる。
しかし、オフィスから飛び出すことにより、創造性が発揮でき、無駄を減らすことが出来るのなら、それは大いに意味がある。ノマドの本領発揮である。
これをあらゆる職種に当てはまるかのような書き方が誤解を起こさせる。
すべての人がブロガーとかライターやエディター、ソフトウェアエンジニアではないし、もちろんそうだとしたら世の中は回らない。
とは言え、最近は場所の束縛をひらりと解き放ってクリエイティブに動いている人々に出会うことが多く、これからの価値観の変化に期待と不安をもって迎えている。
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