最近、「スペイシー」
や「スペースマーケット」
といったレンタルスペースのポータルが盛り上がっていて、TVCMなども出していて少々驚いた。
この手のサイトはセミナー運営などで時折お世話になっていたが、ここ数年で物件数が異常に増えてきた感がある。
東京が最も多いのはもちろんだが、関西・名古屋も相当数のスペースが掲載されている。
そこで、運営サイドとしては割に合うのかどうか、ちょっと考察してみる。
そもそも運営しているのがどのような立場の人間なのか、ここの所から謎だ。
もちろん全くの個人なのかも知れないし、法人かもしれない。一応、自社内の会議室を土日にレンタルするパターンは考えず、フルタイムで貸し出しているタイプのみを対象にする。
元は取れる?
最も気になるのが採算性だ。
最近よく使う物件は、大手管理会社系の「ビジネス・マンション」の一室を利用した物件だ。
ワンルームでユニットバスが付いているという、昔から良くあるタイプのもので、かつてより士業、ベンチャー企業、接客型ビジネスなどに埋め尽くされている。面積は20m2前後だ。
これを賃貸すると20万円近くかかる。建物は新しくないがしっかりしているし、交通も相当に便利だ。
しかし、レンタルの収入については、もし土日に目一杯予約で埋まり、平日もそこそこ埋まる状態になったとしても、家賃には遠く及ばないのだ。(もちろん100%稼働すれば家賃の元は取れるが、現実にそのような部屋を見ることはない。平日で30%稼働が良いところだ)
こういう試算をしてみると、この「会議室ビジネス」ははじめから破綻しているように思えなくもない。
しかし盛況を極めていることを見ると、そこには何らかのカラクリがあるはず。
一つ考えたのが、管理会社が家主になっていて、遊休オフィス対策として自ら掲載しているという可能性だ。実際空いたオフィスから僅かならでも収益を上げていく方法として手間いらずで有効だと思う。
ただ、その場合は空室物件としても賃貸サイトなどに掲載されるはずであるのに、実際はほとんど出ていない事から考えにくい。(マンションタイプでない純粋なオフィス物件であれば考えられる)
やはり、分譲所有者もしくは賃貸人が自ら掲載しているということになる。
そうするとまず、管理組合および賃貸契約上「微妙」な扱いになり、このことは案内メールに「決して管理人に尋ねたりしないで下さい」のような注意が入っていることからも窺い知ることができる。
民泊とは違い、この問題があまり取り沙汰されないのはなぜかというと、そもそも会議室ビジネスが草莽期であるということと、住宅と違って近隣とのトラブルになったり、不安を煽ったりすることが少ないという事、何よりも宿泊に関連する何重もの法的な縛りとは無縁である事、が考えられる。
実際に利用してみると、あれやこれやと禁止事項の張り紙が部屋中に満ちていて、これを遵守している以上はトラブルなどは起こるはずもないように思える。
運営側に立ってみると?
さて、運営側に立って見たとき、airbnbなど他のシェアエコノミーと比較するとどうなのか?
会議室ビジネスは、民泊のように営業日数制限などがかからないし、煩雑な申請も必要がないので開業には有利だ。
そして、運営手間がまるで違う。
会議室ビジネスは、民泊にように土地に不慣れな外国人に対するケアも不要だし、完璧なクリーニングやシーツの取り換えも必要ない(原則的には使用者が自主的に掃除する)。自分が使った所はほとんどが無人運営で、部屋はあらかじめ開錠されているか、番号錠がかかっているだけ(もっともこれは民泊のトレンドでもある)
大きな違いは、ゴミ処理の手間が要らないという事につきる。ゴミの分別や収集日が厳格な日本では、これを代行する事が大きな負担になる。ほとんどのレンタル会議室ではゴミ捨てが禁じられているので、この問題が発生しない。
こうしてみると、運営自体は民泊と比較するとずいぶん手間がかからない。
備品のチェックと掃除で最低限巡回すれば済んでしまい、その他はサイトを通じた「手ぶら運営」に近い。
巡回頻度は利用状況にもよるが、週に3回、1回30分程度で済むのではないか。
こんなビジネスなら誰でもやりたがるだろう。
だが、前述の通り、東京の交通便利な場所に限って言えば、採算性は絶望的だ。いくら手間いらずといっても、ただただ費用を垂れ流すようでは意味がないのだ。
自分のようなテレワーカー?にとっては、予約が入っていない時間は自ら独占使用できるメリットも無いではない。しかし、荷物・書類などを置く事ができずオフィスとしての利用価値は低い。
それでも相当数の物件が掲載されていることから、どこかにこのカラクリを解く鍵があるはずなのだが、現時点ではそれが見つけられていない。
一つ言えるのは、東京では成り立たないにしても、ある程度の規模の地方都市では採算に乗る可能性を十分に持っているということだ。
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